発達障害でWeb・クリエイティブの仕事を目指す人へ ―― 当事者が伝える、向き不向きと現実的な始め方

就職・働き方/2026年5月時点

「発達障害だからWeb系が向いている」とは、正直、安易には言えません。Webデザインや制作はコロナ禍以降に人気が高まり、参入者も増えて競争が激しい分野です。楽に働ける逃げ道ではありません。ただ、特性がハマれば(細部への気づき・過集中・構造を理解する力)、強みを一点突破で深く伸ばせる分野でもあります。大事なのは「向いている/いない」で決めつけず、自分の特性がどの作業でプラスになり、どの環境でマイナスに出るかを見極めること。これが当事者のWebデザイナーとしての、私の正直な実感です。

まず前提:「Web系は楽な逃げ道」ではない

WebデザイナーやWeb制作は、コロナ禍以降に在宅ワークや副業の文脈でかなり人気が出て、参入者も増えた分野です。だから正直に言うと、「勉強すれば誰でもすぐ稼げる」ような甘い世界ではありません。フリーランスも多く、スクール卒業生も多く、低単価の案件も多い。競争率はかなり高いです。

だからこそ、発達障害がある人に対しても、「Web系なら在宅で働けるから向いてるよ」と安易には言いたくありません。期待だけで飛び込むと、しんどくなりやすいからです。

発達障害の特性が「武器」になる場面

一方で、発達障害の特性が強みに変わる場面は、確実にあると感じています。

細部に気づける人なら、デザインのズレ、余白、色、フォント、UIの違和感に強い。過集中できる人なら、バナー・LP・コーディング・UI改善などに深く入り込んで、かなり高い完成度まで持っていける可能性があります。ルールや構造を理解するのが得意な人なら、HTML/CSSの正確なコーディングや、コンポーネント設計、デザインシステムの運用にも向いているかもしれません。

制作作業は基本的に個人の裁量で進めることが多く、自分のペースを保ちやすい。そのうえで、高い集中力を活かして次々と新しいアイデアを出す発想力は、デザイン制作で大きな武器になると感じています。

同じ特性が「リスク」にもなる

ただし、過集中は武器であると同時にリスクでもあります。休憩を忘れる、納期前に燃え尽きる、細部にこだわりすぎて全体の進行が遅れる、修正依頼を「自分を否定された」と受け取ってしまう。そういうことも起きやすいです。

また、時間管理や細かなマルチタスクが求められる場面はやはり厳しい。だから、強みと弱みはセットで把握しておくのが現実的です。

ツールが使えるだけでは埋もれる

Webデザイナーを目指すなら、ただツールが使えるだけでは厳しいのが実際です。Figmaが使える、Canvaが使える、HTML/CSSが少し書ける、だけだと埋もれやすい。

でも、デザインの意図を説明できる、ユーザー目線で改善できる、正確にコーディングできる、修正に強い、納期を守れる、クライアントと認識合わせができる。そういう実務力があれば、ちゃんと戦えます。発達障害があるかどうかにかかわらず、ここが分かれ目です。

現実的な始め方:いきなりフリーランスより「小さく作る」

これから目指すなら、いきなりフリーランスを目指すより、まずは小さく作ってみるのがおすすめです。バナーを作る。LPを模写する。HTML/CSSで再現する。ポートフォリオを作る。誰かに見てもらって修正する。

その過程で、自分が「楽しい」と感じる作業と、「明らかに消耗する」作業を分けていきます。これが、自分の特性のどこがプラスに働くかを知る一番の近道です。夢を見すぎないほうがいい。でも、自分の強みを一点突破できる人には、十分チャンスがあります。特に、圧倒的なデザイン力、正確なコーディング力、細部へのこだわり、集中力。このあたりがうまく出る人は、発達特性が単なる弱点ではなく、ちゃんと武器になります。

スキルの身につけ方と、就労移行支援という選択肢

私自身は専門学校でWeb・デザインを学びました。それ以前に職業訓練校でWeb関連のExcelなどを学んだこともあります。学び方は人それぞれで、専門学校・職業訓練校・スクール・独学など、いろいろな道があります。

もうひとつ、発達障害がある人には就労移行支援で、Web制作のスキルを訓練から身につけるという選択肢もあります。たとえばatGPジョブトレのIT・Webコースのように、Web制作のスキルと「働き続ける力」をあわせて身につけられるコースもあります。正直、私自身も当時こうした支援を知っていたら使いたかったと思っています。ただし、就労移行支援は対象になる条件(障害の状況や手帳・自治体の制度など)があるので、まずは見学・相談から始めるのが安心です。

クローズ(一般雇用)でWebの仕事をしている実際

私は今、クローズ(一般雇用)でWebの仕事をしています。良い点は、障害者として変に気を使われないこと、そして障害者雇用と比べると給料が良いことです。

逆にしんどい点は、配慮を求めづらいこと。だから、自分の苦手なことを何らかの手段でカバーできる「仕組み」を自分でつくっていく必要があるのです。たとえば時間管理が苦手ならアラームやタスク管理で補う、といった工夫です(このあたりは生活の工夫の記事でも紹介しています)。オープン(障害者雇用)と比べた働き方の違いは、就職・働き方の章にまとめています。

よくある質問(FAQ)

発達障害(ADHD)にWebデザイナーやWeb制作は向いている?
一概には言えません。Web系は人気で競争も激しく、楽な仕事ではありません。ただ、細部への気づき・過集中・構造を理解する力がハマれば、強みを深く伸ばせる分野でもあります。「発達障害だから向いている」と決めつけず、自分の特性がどの作業でプラスになり、どの環境でマイナスに出るかを見極めることが大事です。
未経験からWeb系を目指すには、何から始めればいい?
いきなりフリーランスより、まず小さく作ってみること。バナー、LP模写、HTML/CSSでの再現、ポートフォリオ作成、人に見てもらって修正。そのなかで「楽しい作業」と「消耗する作業」を分けます。ツールが使えるだけでは埋もれやすく、意図を説明できる・修正に強い・納期を守れる実務力が要ります。
発達障害でも在宅でWebの仕事はできる?
在宅の仕事自体はありますが、「在宅で楽に稼げる」は誤解です。参入者が増え低単価案件も多く、競争は激しめです。一方で制作作業は個人の裁量で進めやすく、自分のペースを保ちやすい点は特性と相性が良い面もあります。
Web系のスキルはどこで学べる?
専門学校・職業訓練校・スクール・独学などがあります。発達障害がある人には、就労移行支援でWeb制作を訓練から学べるコース(例:atGPジョブトレのIT・Webコース)という選択肢もあります。対象になるかは状況によるので、見学・相談から始めるのがおすすめです。

あわせてどうぞ

自分のADHD傾向を無料セルフチェックで確かめる

オープン/クローズの選び方:就職・働き方の章

ADHDの診断を受けて感じたこと(当事者の体験)

この記事は当事者の体験と一般的な情報をまとめたもので、特定の進路や働き方を保証するものではありません。向き不向きや体調には個人差があります。困りごとが続く場合は医療機関や発達障害者支援センターにご相談ください。

この記事を書いた人

ADHDの当事者で、現役のWebデザイナー(Webディレクター経験あり)。「発達障害かも?」と悩んだ自分の経験から、診断・制度・働き方を一次情報として書いています。プライバシーのためニックネームで運営し、本名・顔出しはしていませんが、内容は実体験にもとづく本当のことです。運営者について